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ヤマアリ亜科1

ヤマアリ亜科1 〜目次〜

オオアリ属クロオオアリ Camponotus japonicus

◆サイズ

【女王】約18mm、【ワーカー】約7~12mm

◆特徴
日本最大級のオオアリ。体色は黒色。腹部に立派な軟毛があり、自然下では美しく黄金色に輝く。
◆コロニー形態
単雌性、土中営巣性
◆観察地
日当たりの良い開けた場所の土中や石下などに営巣し活動している。山林内の日当たりの良い場所、市街地の公園、街路樹脇などでも観察できる。
山林では日陰に入るとあまり見られなくなり、同サイズでは近縁種ムネアカオオアリが増える。
◆結婚飛行
5~6月。日中から夕方にかけて飛行が行われることが多い為、夕方頃までに生息地周辺の地表を探すと新女王が見つかりやすい。
クロオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
土中営巣性の為、巣内の保湿が可能な石膏巣などでの飼育がオススメ。
大型種の為、観察がしやすく飼育が楽しいアリ。


クロオオアリの動画リスト
クロオオアリのブログ記事
クロオオアリの女王
クロオオアリのワーカー(栄養交換)
クロオオアリのワーカー

オオアリ属ムネアカオオアリ Camponotus obscuripes

◆サイズ【女王】約18mm、【ワーカー】約7~12mm

◆特徴
頭部・腹部は黒色、胸部・腹柄節・腹部第1節基部が赤色の美しい日本最大種の一つ。
森林性のアリで森の中で見る最大サイズのワーカーの姿は圧巻。
標高の高い地域では体色が黒化する傾向があり、赤い部位が少なく赤色も暗く燻んでいく。ほぼ完全に黒化しているものもいる。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性

◆観察地
直射日光の当たらない森林内に多い。都市公園などの緑地では見当たらない。朽ち木、切り株、倒木、立木の腐朽部、根元付近の土中などに営巣している為、そのような場所周辺の地表、木の幹等で見つかる。枯竹内に営巣している場合もある。

◆結婚飛行
5~6月。午後〜夕方に飛行する為、夕方〜夜に新女王が見つかりやすい。標高の高い地域では結婚飛行が遅れる。観察した中で最も遅かったのは標高2000m付近で8月。
ムネアカオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
これまでムネアカオオアリは全て石膏巣による加湿飼育を行ってきました。巣は立木や倒木などに見られますが巣が土中に続いている場合もあるのである程度湿度のある環境で暮らしているのではと考えています。
大型種で色彩も美しい為、人気種の一つ。


ムネアカオオアリの動画リスト 

ムネアカオオアリの有翅雌(結婚飛行)
ムネアカオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)

オオアリ属ミカドオオアリ Camponotus kiusiuensis

◆サイズ【女王】約15mm、【ワーカー】約8~11mm

◆特徴
光沢のある黒色、脚は褐色の美しい大型オオアリ。
大型であるが、樹上性かつ夜行性でクロオオアリやムネアカオオアリのように日中に地上を徘徊することが少ない為、アリ飼育を趣味とする人々にとってはちょっとした憧れの種の一つ。

◆コロニー形態
単雌性(稀に女王が2匹いるコロニーなどが見つかる)、樹上営巣性

◆観察地
樹上営巣種の為、森林や竹林などで見つかる。夜行性の為、日中にはどんなに探しても地表を徘徊するワーカーが見つかることはほとんど無いが、夜間に探索すると立木の幹や周囲の地表を徘徊するワーカーが意外に多く見つかる。日中にムネアカオオアリが歩いている場所に夜間はミカドオオアリがいるようなイメージ。枯枝、枯竹などに営巣していることが多い為、冬場に枝折などでコロニーを採集できることが多い。ただし、サテライトコロニーを多く作る為、女王がいるコロニーがなかなか採集できないことも多い。

◆結婚飛行
多くのオオアリ属と同じ5~6月。夕方~夜に有翅雌、脱翅雌が見つかる。
ミカドオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
樹上種の為、木製巣を使っての飼育が相性が良さそう。

ミカドオオアリの動画リスト

 

 

ミカドオオアリの女王
ミカドオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)

オオアリ属ヨツボシオオアリ Camponotus quadrinotatus

◆サイズ【女王】約10mm、【ワーカー】約4.5~6mm

◆特徴
黒色で腹部に2対の”星”の斑紋を持つ美しい中型オオアリ。"ヨツボシ"という名を持つアリの中でも斑紋が鮮明なアリ。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣種

◆観察地
枯枝や立木の腐朽部、樹皮下などに営巣するとされている種の為、基本的には木の幹を上下しているところが見つけやすい。森林にも多いが市街地の古い桜並木のような場所でも見つかることがある。

◆結婚飛行
5~6月。昼頃から有翅個体が飛行スタンバイに入り、脱翅雌は夜まで見つかる。飛行後の脱翅雌は地表ではほぼ見つからずほとんどが立木の幹で見つかる。
ヨツボシオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
樹上営巣種の為、木製巣との相性が良い。石膏巣でも飼育は可能だが、よく掘られる。

ヨツボシオオアリの動画リスト

 

ヨツボシオオアリの女王
ヨツボシオオアリのワーカー

オオアリ属ニシムネアカオオアリ Camponotus hemichlaena

◆サイズ【女王】約18mm、【ワーカー】約7~12mm

◆特徴
頭部と前胸、腹部は黒色、前胸以外の胸部と腹柄節、腹部第1節は赤色の二色性の美しいオオアリ。ムネアカオオアリとよく似ているが、ムネアカオオアリでは前胸が赤色をしている。前胸が黒いニシムネアカオオアリはよりシックで重厚感のある雰囲気を漂わせる。

◆コロニー形態
樹上営巣性

◆観察地
森林内の立木の根元などに巣が見られた。観察地は山陰地方と屋久島。

◆結婚飛行

◆飼育

ニシムネアカオオアリの動画リスト

ニシムネアカオオアリのワーカー
ニシムネアカオオアリのワーカー
ニシムネアカオオアリのワーカー

オオアリ属カラフトクロオオアリ Camponotus sachalinensis

◆サイズ【女王】約18mm、【ワーカー】約7~12mm

◆特徴

光沢のある黒色の大型オオアリ。クロオオアリに比べ全体的に立毛が少なく漆黒色に見える。

本州では標高1700m以上の亜高山帯に生息するとされる。
近縁種ムネアカオオアリの黒化型個体(高標高地ほど体色が黒化し、全身黒色の個体も存在する)との識別が難しい。

◆コロニー形態

◆観察地
北関東標高1800m地点の山地にて観察。脱翅雌と林床を歩くワーカーを観察した。
北関東標高2000m地点の山林内でワーカーを観察した。
どちらの場合も苔が豊富に茂った森林内での観察。

◆結婚飛行
7月下旬に結婚飛行後の脱翅雌を採集。
カラフトクロオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
かつて石膏巣での飼育を試みた。コロニーは順調に育った。

カラフトクロオオアリの女王
カラフトクロオオアリのワーカー
カラフトクロオオアリのワーカー
カラフトクロオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)

オオアリ属アメイロオオアリ Camponotus devestivus

◆サイズ【女王】約14mm、【ワーカー】約7~10mm

◆特徴
"飴色"をした大型オオアリ。特に胸部はより明るい飴色。体格は細長く触角等も長い美麗種。
その美しさの反面、夜行性の為徘徊するワーカー等に出会う機会は少ない。さらに日本海側や北日本では見られないアリの為、アリ飼育者が憧れるアリの一つ。

◆コロニー形態
枯枝、枯竹内など。

◆観察地
林内の一角にある枯竹内から採集。他の枯枝営巣種と同様サテライトコロニーも形成していた。

◆結婚飛行

◆飼育
石膏巣での飼育も可能。木製巣での飼育も可能。

アメイロオオアリの動画リスト
アメイロオオアリのブログ記事

アメイロオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
アメイロオオアリのワーカー
アメイロオオアリのワーカー

オオアリ属ミヤコオオアリ Camponotus friedae

◆サイズ【ワーカー】約5~9mm

◆特徴

頭部と腹部は黒色、胸部・腹柄節はやや褐色がかるがほぼ黒色。

野外で見ると漆黒の光沢のある美麗種。

台湾などでは普通に見られる種だそうだが、日本では琉球列島の一部に生息するやや稀な種。

メジャーワーカーとマイナーワーカーとの体格差が大きく、中型種ながら頭幅の大きいメジャーワーカーのボリューム感はなかなかの迫力。

◆コロニー形態

◆観察地

観察地は南西諸島海岸沿いの草地。巣は土中に作られていた。巣口周辺や周囲の岩場を徘徊する姿が観察できた。

◆結婚飛行

◆飼育

ミヤコオオアリの動画リスト

ミヤコオオアリのメジャーワーカー
ミヤコオオアリのメジャーワーカー
ミヤコオオアリのマイナーワーカー
ミヤコオオアリのマイナーワーカー

オオアリ属ユミセオオアリ Camponotus kaguya

◆サイズ【ワーカー】約7~12mm

◆特徴
頭部・腹部第3節以降は黒色、胸部・脚・腹部第1~2節はオレンジがかった赤褐色。胸部背縁は側方から見て強く弧を描く≪弓背≫。日本のオオアリの仲間の中でも唯一無二の鮮やかな色彩を持つ美麗種。
南西諸島の一部に生息する。

◆コロニー形態
単雌性、土中営巣性

◆観察地
海岸付近の崖を上り下りするワーカーを観察。

◆結婚飛行

◆飼育

ユミセオオアリのワーカー
ユミセオオアリのワーカー
ユミセオオアリのワーカー
ユミセオオアリのワーカー

オオアリ属クサオオアリ Camponotus keihitoi

◆サイズ【女王】約9mm、【ワーカー】約4~4.5mm

◆特徴
体色は黒色で光沢がある美麗種。他種には無い特徴は腹部の節に際立つ白い横縞模様。他種に見られる星模様(斑紋)ではなく横縞模様を持つクサオオアリはエレガントな雰囲気を纏う。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性

◆観察地
森林内の立木や切り株、林道の木枠などを歩く姿を観察できる。
クサオオアリでもクロオオアリで見られるような数匹〜十数匹が小隊で移動する行動を観察できる。

◆結婚飛行
クサオオアリの結婚飛行時期

◆飼育

クサオオアリの動画リスト

クサオオアリの女王
クサオオアリのワーカー
クサオオアリのワーカー
クサオオアリのワーカー

オオアリ属ケブカツヤオオアリ Camponotus nipponensis

◆サイズ【女王】約9mm、【ワーカー】約4~5mm

◆特徴
体色は黒〜黒褐色、その名の通り背面に多くの立毛を持つオオアリの仲間。ただし肉眼ではその立毛を視認することは簡単ではない。女王は腹部の節に鮮やかなオレンジ色の横縞を持ち大変美しい。しかしながらワーカーではこの特徴はそこまで顕著には確認できない。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性

◆観察地
山地。

◆結婚飛行
5月にクロオオアリの大飛行があった日、ケブカツヤオオアリの有羽雌、脱翅雌に出会う。
ケブカツヤオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
石膏巣、木製巣どちらでも飼育が可能。ステンレスと木製床材のハイブリッド巣も使用。

ケブカツヤオオアリの動画リスト

ケブカツヤオオアリの女王
ケブカツヤオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
ケブカツヤオオアリのワーカー

オオアリ属ホソウメマツオオアリ Camponotus bishamon

◆サイズ【女王】約8mm、【ワーカー】約4~4.5mm

◆特徴

光沢のある黒色のオオアリ。近縁種のウメマツオオアリとはとてもよく似ているが、前伸腹節背縁や腹柄節の形状などで区別される。

◆コロニー形態
樹上営巣性

◆観察地
南西諸島。
生息地自体は本州南部にも広がっているとされている。

◆結婚飛行
6月に南西諸島で結婚飛行後の脱翅雌を採集。
ホソウメマツオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
樹上営巣種だが、石膏巣(加水少なく)でも問題なく飼育出来た。

ホソウメマツオオアリの動画リスト

ホソウメマツオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
ホソウメマツオオアリのワーカー
ホソウメマツオオアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
ホソウメマツオオアリのワーカー

オオアリ属イトウオオアリ Camponotus itoi

◆サイズ【ワーカー】約3.5~4.5mm

◆特徴
ウメマツオオアリ亜属の中で最も小型な黒色のオオアリ。ウメマツオオアリに似ているが胸部や前伸腹節の形状などで区別できる。またサイズも一回り小さい。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性

◆観察地
樹上営巣種なので木の幹などを歩いていることがある。枯竹などからコロニーが見つかることもある。

◆結婚飛行
7月に脱翅雌を採集したことがある。
イトウオオアリの結婚飛行時期

◆飼育

イトウオオアリの女王
イトウオオアリのワーカー
イトウオオアリのワーカー
イトウオオアリのワーカー

オオアリ属ナワヨツボシオオアリ Camponotus nawai

◆サイズ【女王】約8mm、【ワーカー】約4~4.5mm

◆特徴

体色は黒色、前胸が赤褐色~黒褐色、腹部には2対の斑紋”星”を持つ。

"星"の斑紋は個体差が大きく、明瞭なものからほとんど確認出来ないものまで様々。近縁種ヤマヨツボシオオアリによくにるが、ナワヨツボシオオアリはヤマヨツボシオオアリほど複眼が突出していない。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性

◆観察地
比較的海に近い地域で多い。近縁種ヤマヨツボシオオアリはより内陸の山地などに多い。枯竹などからコロニーが見つかる。

◆結婚飛行
ナワヨツボシオオアリの結婚飛行時期

◆飼育

ナワヨツボシオオアリの動画リスト

ナワヨツボシオオアリの女王とワーカー
ナワヨツボシオオアリの女王とワーカー
ナワヨツボシオオアリの女王とワーカー
ナワヨツボシオオアリの女王とワーカー

オオアリ属ヤマヨツボシオオアリ Camponotus yamaokai

◆サイズ【女王】約8mm、【ワーカー】約3.5~4.5mm

◆特徴

黒色で前胸が赤褐色~黒褐色、腹部に2対の”星”を持つ美しい小型オオアリ。

近縁のナワヨツボシオオアリに比べ、複眼がより突出している。

◆コロニー形態
多雌性、樹上営巣性

◆観察地
山林内の枯枝や枯竹などから見つかる。近縁種ナワヨツボシオオアリがより海沿いの地域に多いのに対しヤマヨツボシオオアリはより内陸の山地に多い。

◆結婚飛行

◆飼育

ヤマヨツボシオオアリの動画リスト

ヤマヨツボシオオアリの女王とワーカー
ヤマヨツボシオオアリのワーカー
ヤマヨツボシオオアリのワーカー
ヤマヨツボシオオアリのワーカー

オオアリ属ウメマツオオアリ Camponotus vitiosus

◆サイズ【女王】約8mm、【ワーカー】約4~6mm

◆特徴
黒色で光沢のある小型のオオアリ。前胸部は褐色の場合が多い。前伸腹節背縁や腹柄節の形状などで他種と区別される。

◆コロニー形態
樹上営巣性。
基本的には単雌コロニーが多いが結婚飛行後の新女王が複数同居して越冬していたり、多雌コロニーも稀に見つかる。

◆観察地
コロニーは枯枝や枯竹からコロニーが見つかりやすい。ミカドオオアリなどの種と同様にサテライトコロニーを形成する。採集を試みる際にはこの点に泣かされることが多い。
活動期には木の幹を上下する様子などを観察することができる。

◆結婚飛行
7~8月頃に飛行が行われる。灯火に集まる為、夜に見つかることが多いが、日中でも森林内の木の幹などで脱翅雌を見つけることが出来る。
ウメマツオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
樹上種の為、木製巣などの乾燥飼育も合うと思いますが、我が家で最も長く飼育したコロニーはアクリルパイプと石膏で作った竹筒型飼育巣で暮らしていました。このコロニーは約9年間生きました。

ウメマツオオアリの動画リスト

ウメマツオオアリの女王
ウメマツオオアリのワーカー
ウメマツオオアリのワーカー
ウメマツオオアリのワーカー

オオアリ属ヒラズオオアリ Colobopsis nipponicus

◆サイズ【女王】約6mm、【ワーカー】約2.5~5mm

◆特徴

黒色~黒褐色の小型オオアリ。胸部はやや明るい色をしている。ワーカーはマイナーワーカーと兵アリの2型。
女王と兵アリの頭部は切断されたように平らで、この頭部を使って巣口の入り口を塞ぎ外敵の侵入を防ぐ特徴的な生態を持つ。

◆コロニー形態
単雌性、樹上営巣性。

◆観察地
枯竹からコロニーが見つかっている。また、ドングリから初期コロニーが見つかった例もあった。
枯竹からはサテライトコロニーも見つかる。初期コロニーでは巣口の防衛用に兵アリを1個体生産するとされているが、実際にドングリから見つかった初期コロニーではワーカー数匹の規模でありながら兵アリが1匹確認出来た。

◆結婚飛行
7~8月。灯火にも集まる他、日中に森林内で見つかることもある。
ヒラズオオアリの結婚飛行時期

◆飼育
樹上営巣性である生態を踏まえて木製巣を使った乾燥飼育を試みた。
新女王からのコロニー創設、越冬に成功した。

ヒラズオオアリの動画リスト 

ヒラズオオアリの女王
ヒラズオオアリのメジャーワーカー
ヒラズオオアリの有翅雌
ヒラズオオアリのメジャーワーカー

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