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フタフシアリ亜科2

フタフシアリ亜科2 〜目次〜

アシナガアリ属アシナガアリ Aphaenogaster famelica

◆サイズ【女王】約10mm、【ワーカー】約3.5~8mm

◆特徴
体色は暗褐色。触覚、脚、胸部が長い。ワーカーのサイズは個体差の幅が大きい。川原などの水辺や森林内の日陰側斜面などでよく見つかる。
女王、ワーカーの美しいフォルムや可愛らしいゆっくりな動きなどからアリ飼育者にとって人気の種。

◆コロニー形態
単雌性、土中営巣性

◆観察地
森林内では普通に見られるアリで、直射日光のあまり当たらない林内の土中や川沿いの石下などによく営巣している。日中に活動しているのと比較的サイズの大きいアリである為、見つけやすいアリ。

◆結婚飛行
7月上旬〜中旬に森林内で結婚飛行後の新女王を採集。
採集時間帯は昼過ぎと夜間。日中の探索では大変暑い時期なので熱中症にも注意が必要...
アシナガアリの結婚飛行時期

◆飼育
土中営巣種の為、石膏巣を用いた加湿飼育を行う。
肉餌をよく食べ、幼虫はワーカーが巣内に持ち込んだ肉餌に直に齧り付く。

アシナガアリの動画リスト

アシナガアリの女王
アシナガアリのワーカー
アシナガアリのワーカー
アシナガアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)

アシナガアリ属クビナガアシナガアリ Aphaenogaster gracillima

◆サイズ【女王】約10mm、【ワーカー】約3.5~8mm

◆特徴

頭部・胸部が赤褐色の八重山諸島に生息する美しいアシナガアリ。

頭部・胸部が細長く、触覚・脚も長い名称通りの特徴を持つ。

◆コロニー形態

◆観察地

◆結婚飛行

◆飼育

国内種では唯一、自力採集ではなくAntroomさんより脱翅雌を購入し飼育した。
石膏巣での加湿飼育を行い、飼育はしやすくよく増える。

アシナガアリ類の傾向として動きが比較的ゆっくりな為、観察や管理もしやすい。

ただし南方のアリの為、特に冬場の温度管理などをしてあげないと調子を落とす原因となる。

飼育時にはパネルヒーターを利用した。

 

クビナガアシナガアリの女王
クビナガアシナガアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
クビナガアシナガアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー)
クビナガアシナガアリのワーカー

アシナガアリ属ヤマトアシナガアリ Aphaenogaster japonica

◆サイズ【ワーカー】約3~5mm

◆特徴
暗褐色〜淡褐色、脚がやや黄色味がかる。
アシナガアリに似ているがヤマトアシナガアリの場合は前胸の肩の部分に角がある。

◆コロニー形態

◆観察地
森林内で見られる他、林床の腐葉土層を探索していると出てくることがある。

◆結婚飛行

◆飼育

ヤマトアシナガアリのワーカー
ヤマトアシナガアリのワーカー
ヤマトアシナガアリのワーカー
ヤマトアシナガアリのワーカー

アシナガアリ属イソアシナガアリ Aphaenogaster osimensis

◆サイズ【ワーカー】約4~6mm

◆特徴
頭部と腹部が暗褐色、胸部が明褐色〜赤褐色の鮮やかな色彩のアシナガアリの仲間。
ワーカーは歩く際に腹部を強く下に曲げる「腹曲げ行動」をする為、上から見ると腹部が無いように見えることもありその都度ビックリさせられる。
本州太平洋岸から四国、九州、奄美大島までに生息する

◆コロニー形態
土中営巣性

◆観察地
奄美大島の港付近の開けた場所で観察。巣は石下の土中へと作られていた。
近畿地方の太平洋側にてコロニーを確認。海沿いの石垣の隙間に巣を作っていた。

◆結婚飛行

◆飼育

イソアシナガアリの動画リスト

イソアシナガアリのワーカー
イソアシナガアリのワーカー
イソアシナガアリのワーカー
イソアシナガアリのワーカーの"腹曲げ行動"

アシナガアリ属ヨナグニアシナガアリ Aphaenogaster rugulosa

◆サイズ【ワーカー】約4~5mm

◆特徴
頭部と胸部は黒褐色、腹部は暗褐色。見た目はほぼ一様に黒く光沢のあるアシナガアリの仲間。
黒いアシナガアリというのは珍しく感じる。サイズはヤマトアシナガアリなどと近いサイズ。
与那国島に生息する。

◆コロニー形態
土中営巣性

◆観察地
与那国島の林内で観察。
草が茂った林床の土中に巣が作られていた。周囲ではワーカー達が昆虫の死骸などを絶えず運んでいた。

◆結婚飛行

◆飼育

ヨナグニアシナガアリの動画リスト

ヨナグニアシナガアリのワーカー
ヨナグニアシナガアリのワーカー
ヨナグニアシナガアリのワーカー
ヨナグニアシナガアリのワーカー

クロナガアリ属クロナガアリ Messor aciculatus

◆サイズ【女王】約10mm、【ワーカー】約4~5mm

◆特徴

本州・四国・九州などに広く分布する黒色のフタフシアリ。

種子食が特徴で、夏場を避けて10~11月の秋口に地表に出て主にイネ科の種子を集める。
その特徴的な食性やゆっくりとした可愛らしい動きからアリ飼育者にとって人気種の一つ。

◆コロニー形態
多雌性、土中営巣性

◆観察地
明るく開けた草地などに多く見られる。条件的には河川敷などはクロナガアリが多く見つかる場所だが、山中の一部開けた場所などでも生息していることがある。
活動期には種を集めるワーカーや昆虫の死骸なども集めている様子を観察することができる。

◆結婚飛行
4月下旬~5月に結婚飛行を行う。
多雌性の為、飛行後の脱翅雌は数匹~10数匹で共同で巣穴を掘り、コロニー立ち上げに挑む。
営巣地は主食となる種子が近くにある草地や開けた場所に見られる。
クロナガアリの結婚飛行時期

◆飼育
土中営巣種の為、石膏巣などを用いた加湿飼育。
種子食の為飼育には種子が必要だが、肉エサも食べる。

クロナガアリの動画リスト

クロナガアリの有翅雌(結婚飛行)
クロナガアリの女王
クロナガアリのワーカー
クロナガアリの女王とワーカー(飼育下のコロニー、巣内にはカゼクサの種が集められている)

オオズアリ属アズマオオズアリ Pheidole fervida

◆サイズ【女王】約7mm、【メジャーワーカー(兵アリ)】約3.5mm、【マイナーワーカー】約2.5mm

◆特徴

黄褐色~赤褐色の体色はオレンジ色と言える様な鮮やかなもの。

南方に多いオオズアリ類の中で、アズマオオズアリは関東以北まで生息地が広がる数少ない種。

◆コロニー形態
単雌コロニーと多雌コロニーがあるとされる。石下などに営巣する。

◆観察地
草地の石下に巣が見られた。
巣外を歩くワーカー達の中に兵アリは少ないが、巣内にはたくさんの兵アリが見られた。

◆結婚飛行
8月上旬夜に灯火に飛来した有翅個体が確認出来た。
アズマオオズアリの結婚飛行時期

◆飼育

アズマオオズアリの動画リスト

アズマオオズアリの女王
アズマオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)
アズマオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)とマイナーワーカー
アズマオオズアリのマイナーワーカー

オオズアリ属ツヤオオズアリ Pheidole megacephala

◆サイズ【メジャーワーカー(兵アリ)】約3.5mm、【マイナーワーカー】約2mm

◆特徴
頭部と腹部は暗褐色、胸部と脚は褐色。兵アリの頭部は滑らかで光沢がある。
南西諸島に分布する。
IUCN(国際自然保護連合)が選定・公表した、侵略的外来生物とされているが、日本の生息地域では自然定着している。

◆コロニー形態
土中営巣性

◆観察地
南西諸島の明るく開けた草地や道端などで見られた。巣の密度は高く、生息数は多いと感じた。

◆結婚飛行

◆飼育

ツヤオオズアリの動画リスト

ツヤオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)とマイナーワーカー
ツヤオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)とマイナーワーカー
ツヤオオズアリのマイナーワーカー
ツヤオオズアリのマイナーワーカー

オオズアリ属オオズアリ Pheidole noda

◆サイズ【女王】約6~7mm、【メジャーワーカー(兵アリ)】約3.5mm、【マイナーワーカー】約2.5mm

◆特徴
頭部と腹部は暗褐色、胸部と脚は赤褐色のオオズアリ。
関東以南に生息されるとされているが、北関東では見たことがなかった。

◆コロニー形態
多雌性、土中営巣性

◆観察地
西日本では普通に見られ、林縁の土中や朽ち木内、都市公園の植え込みなどにも巣が見られる。

◆結婚飛行
オオズアリの結婚飛行時期

◆飼育

オオズアリの女王、ワーカー、有翅雌、オスアリ
オオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)
オオズアリのマイナーワーカー
オオズアリのマイナーワーカー

オオズアリ属ナンヨウテンコクオオズアリ隠蔽種群 Pheidole parva

◆サイズ【メジャーワーカー(兵アリ)】約3.5mm、【マイナーワーカー】約2mm

◆特徴
淡褐色〜褐色。かつては旧称ブギオオズアリとされていた種。

◆コロニー形態

◆観察地
南西諸島

◆結婚飛行
南西諸島で6月下旬に結婚飛行があり、灯火に大量の有翅個体が飛来した。
ナンヨウテンコクオオズアリの結婚飛行時期

◆飼育
石膏巣での加湿飼育を行い初期コロニー創設までは辿り着く事ができた。

ナンヨウテンコクオオズアリの動画リスト

オオズアリ属ヒメオオズアリ Pheidole pieli

◆サイズ【メジャーワーカー(兵アリ)】約3mm、【マイナーワーカー】約1.5mm

◆特徴
黄〜黄褐色。日本産のオオズアリの仲間の中では最も小型の種。
林内に生息する可愛らしいアリ。

◆コロニー形態

◆観察地
森林内の立木周辺で徘徊するワーカーが見られた。

◆結婚飛行

◆飼育

ヒメオオズアリの動画リスト

ヒメオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)
ヒメオオズアリのメジャーワーカー(兵アリ)
ヒメオオズアリのマイナーワーカー
ヒメオオズアリのマイナーワーカー

シワアリ属オオシワアリ Tetramorium bicarinatum

◆サイズ【ワーカー】約3mm

◆特徴
頭部から後腹柄節までは黄色、腹部は暗褐色の二色性の美しいシワアリ。
シワアリとしては大型で本州太平洋岸以南に分布する。

◆コロニー形態
多雌性

◆観察地
南西諸島では普通に見られるアリで、林縁の地表や立木、家の塀などで行列するワーカーが見られた。本州では河原沿いの石下に営巣するコロニーが見られた。

◆結婚飛行
オオシワアリの結婚飛行時期

◆飼育

オオシワアリの動画リスト

オオシワアリのワーカー
オオシワアリのワーカー
オオシワアリのワーカー
石下にあったオオシワアリのコロニー

シワアリ属イカリゲシワアリ Tetramorium lanuginosum

◆サイズ【ワーカー】約2.5mm

◆特徴
黄褐色〜赤褐色のシワアリの仲間。体毛が豊富で頭部から腹柄節にかけての背面に多くの体毛が目立つ。これらの体毛は2~3分岐する体毛が含まれるようだ。
南西諸島に生息する。

◆コロニー形態

◆観察地
南西諸島にて観察。森林内の林道上や斜面を歩くワーカーの姿を観察出来た。
小さなアリだが体毛の多さはとても印象的。

◆結婚飛行

◆飼育

イカリゲシワアリの動画リスト

イカリゲシワアリのワーカー
イカリゲシワアリのワーカー
イカリゲシワアリのワーカー
イカリゲシワアリのワーカー

シワアリ属キイロオオシワアリ Tetramorium nipponense

◆サイズ【ワーカー】約3mm

◆特徴
黄色〜黄褐色のシワアリの仲間。
近縁種オオシワアリとほぼ同サイズでシワアリとしては大型の種。

◆コロニー形態

◆観察地
高知県の森林内で観察。ワーカーは木の幹を歩いていた。
和歌山県の森林内で観察。針葉樹の根元付近に巣が見られた。ワーカーは木の幹の他、林床も徘徊していた。

◆結婚飛行
高知県内で8月中旬の夜、灯火に飛来した有羽雌、脱翅雌を確認した。
キイロオオシワアリの結婚飛行時期

◆飼育

◆の動画リスト

キイロオオシワアリの女王
キイロオオシワアリの有翅雌
キイロオオシワアリのワーカー

シワアリ属トビイロシワアリ Tetramorium tsushimae

◆サイズ【女王】約7mm、【ワーカー】約2.5mm

◆特徴

褐色~黒褐色のシワアリ。

森林内の開けた場所や草地、公園などの開けた場所の土中、石下、コンクリートの隙間などにも営巣する国内の最普通種のひとつ。

一般的なアリの餌も食べるが、クロナガアリ同様種子食も行う。

◆コロニー形態
多雌性、土中営巣性

◆観察地

◆結婚飛行
6~7月
トビイロシワアリの結婚飛行時期

◆飼育

トビイロシワアリの動画リスト

トビイロシワアリの女王
トビイロシワアリのワーカー
トビイロシワアリのワーカー
トビイロシワアリのワーカー

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